「深層地下四階」読みました

 


深層地下4階 (ハーパーBOOKS)

デヴィッド・コープ (著), 伊賀由宇介 (翻訳) 


一年くらい冒頭読んで積んでいた本をやっつけました。

こういう内容の本は「天使の囀り」以来なのですが、

アマゾンレビューを見ると同系統の本の紹介がされていて大変勉強になります。


さて本著はスパイダーマンの脚本家さんが初めて書いた小説だそうです。

千二百円する本です。

なんとなく手にとるにしてはコアな本を買ってしまったな……という気分です。

しばらく悩んで「もしかすると大当たりでは」と手に取りました。

あんまり読まないタイプの本なので目星の降り方がわからないんです。


結論としては手放してほめにくい……

バクマンでいうところのシリアスなギャグみたいな部分も多く感じました。

つまらなくはないのです。

でも、翻訳が読みにくかったら投げ出していたかもしれない。

読みやすく書きくだしてくださった翻訳家さんに感謝です。


ともっかく登場人物の説明が多い。

おそらく映画一本作るときにこれくらい設定しているのだな、と。

でも映像では尺が決まっているから書ききれない。

それを小説では全部明かした、という風に受け取りました。

そういう意味では大変勉強になりました。

シナリオの書き方の本やざっくりした説明っていうのは

本を買えば読めるのですが、

こういう作家さん自身の悶々とした部分というのは

なかなか直で浴びられないと思うので

キャラクター設定や人物描写としての表出という意味では

すごく勉強になる本だと思います。

まあ勉強しようと思って読む人がどれだけいるのかはわかりません。

設定を全部出すと冗長になるということも学べました。


菌を主語にした部分の描写も面白かったですね。

小説ならではのパワーを感じます。


人に気軽には勧められない本なのですが、

読んで悪いこともなかったという気分です。

こういうタイプの本だけど読んで不快にはなりませんでした。

(「天使の囀り」はしばらく引きずる読後感でした。

 母親が本屋で手に取ったとき秒で強めに止めました)

翻訳家さんのあとがきも優しくてよかった。

あのあとがき読んだら強いこと言いたくなくなります。

悪い本じゃないし、いいやつらなんです。