勇者の鬱 あとがきやプロットなど


 【あとがき】


2021/09/14にプロットをはじめたようです。

書き始めたのは翌15日。

一稿完了が11/11。

翌年01/03にあらすじをまとめたみたいです。

もっと早く書ければ色々書けていいんですけどね。


着想は「多重人格の勇者が、人格ごとのスキルを切り替えて冒険をする話」と「冒険から帰ったら幼馴染もお姫様も別の男と結婚していた寝取られ男の勇者が婚活をする。敵対組織と恋に落ちる」の2つのネタです。

数年くらいまとまらなくて時々思い出していたのですが、とりあえずこんな形に落ち着きました。多分一番最初の着想は面白いんだけど、ふくらまし方がなんか違うんだろうな……。

この時期から気分が落ち込んでしょうがないので、一年程度この程度の明るくない話を書いています。



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【完結までのあらすじ】


 地底からやってきた魔物が魔王城を建てた。勇者アルベルトは特命を受け、地上の魔物を一掃し、魔王を倒した。

 王宮に魔王討伐の報告をする。それを契機に、姫と第一騎士団長であり友人のカイトが婚約を発表した。故郷に戻ったら想っていた幼なじみのクーとスパロウが結婚していた。祝福しつつ居場所がなくなったアルベルトは、再び王都へ上京した。酒場で再会した吟遊詩人のレイヴンとルームシェアをする。

 アルベルトは仕事のストレスにより鬱状態に陥っていた。勇者として行った殺戮に抵抗感があり、残虐な記憶は節々が欠けていた。勇者であることを隠したいと考えている。

 図書館で、魔王城ですれ違ったカナリーに出会う。カナリーは人間に化けられる高位の魔物だった。一度目は見逃すと告げて去るアルベルト。諜報部隊である第二騎士団長のターミガンの元へ向かい、目的を聞き出してからカナリーを始末する指令を受ける。

 カナリーはまだ図書館に来ていた。後をつけていたアルベルトだが、カナリーのポンコツぶりが見ていられなくて声をかける。魔物の姿ならともかく、見た目が同じ人間で異性で好みのタイプのため、殺すことのふんぎりがつかない。話していくうちにカナリーは魔王の娘で学者、魔物が地底にいる理由を研究していることがわかる。研究はどこにも記述がなく手詰まりだった。研究に興味を持ったアルベルトは、彼女を監視しながら手伝いをすることに決める。カナリーはアルベルトに抵抗感を持ちつつ、自分の目標のために彼を許すことに努めていた。

 アルベルトは酔うとクーに教わった歌を口ずさむ。歌がレイヴンとアルベルトを出会わせた。レイヴンは人間と魔物のハーフだ。アルベルトの歌は、故郷を出て亡くなったレイヴンの父親から教わった歌と同じだった。父親は、村は遺跡を守っているとレイヴンに教えていた。カナリーの探している記述が遺跡にあるかもしれない。レイヴンは村の場所を知らないが、クーに歌を教えた両親ならば知っているだろう。故郷に帰るプレッシャーでアルベルトは鬱状態に入ってしまうが、カナリーとレイヴンに気持ちを向けることで平常心を取り戻す。アルベルトとカナリーは、アルベルトの故郷へと向かった。

 村のことを尋ねられ、危険を感じてクー一家は脱出する。しかし、村の場所は知ることが出来た。抜け駆けをしたスパロウとも和解をする。王都に戻ると、レイヴンがターミガンにすべてを話していた。カナリーを殺害する指令は取り消され、正式に手を組む。

 アルベルトの精神は少しずつ平常を取り戻し、日常への差し障りが減ってきた。しかし、カナリーの父親を殺した罪悪感が拭えない。カナリーも、父親に対しての後悔とアルベルトへの信頼の狭間で揺れている。

 村では乱闘で説得を行い、村人のダリアに案内されて柱状の遺跡へと案内される。遺跡の壁面には、カナリーの探していた歴史が描かれていた。第一騎士団が後から到着して村を集団摘発する。火事が起こり、村人は自決する。意志を持つことが許されない村の中で自我を持っていたダリアは死にたくないと言った。ダリアに自分を重ねていたアルベルトは手を差し伸べる。魔物の姿になったカナリーを見てアルベルトはすべての記憶を取り戻し、助かる見込みのない村人を手にかけることで仲間の罪を背負おうとする。

 後日、それぞれは負った傷と向き合いながら暮らしていた。カナリーはアルベルトへ心を開いていた。カナリーは人間と魔物の調和に向けてアルベルトに協力を求める。心の傷は直りきらないが、アルベルトは自分の居場所を見つけて心底から笑えるようになった。



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【プロット】


【題名】

 勇者の鬱

 勇者婚活中

 婚活勇者

 ネトラレ勇者は居場所がない



【登場人物】

○勇者(男)17 アルバトロス(アホウドリ)

 主人公。見栄っ張りで強がりを言ってしまう小心者。ものすごくさみしがり屋なのは、両親が事故でなくなっているため。勇者の血筋だと知らされるまで天涯孤独だった。声に特徴的なうるささがある。根は真面目なのに誠実に受け取ってもらえない。筋肉質で顔は普通に良い程度、明るい茶髪。

 光のクレイジーとあだ名がつく。たいがいのことはノリで話すが、一度立ち止まって考えてそうでもないなと言い直すことがある。直前に言っていることと矛盾することを平気で言う。基本的には相手を肯定するが、力量については辛口強めコメントをする。つい表の華やかなと性格だけ見られがちだが、明る

くて暗いタイプの人。マイナス思考かつ悪いことばかり考えてしまうので、口だけで強がりを言うくせがついていが、うまく自分を奮い立たせられないのは安心感がないから。けっこう照れ屋で、好きな子はいじめたくなるタイプ。

○魔王の娘=現魔王(女)14 カナリー(金糸雀)

 考古学者。華奢。本を読むときだけ眼鏡をかける。丁寧口調で喋り、感情があまり見えない。年齢より落ち着いて大人びている。紫髪ロング紫目清楚系。声質としてはか細くて高い声なのだけど、淡々と感情なく低音域で喋るので可愛く見られない。ちょっと早口。

 陰キャ入っているので、勇者を「うっとおしい」「やかましい」と思っているけど、だんだん嫌ではなくなってくる。寂しがりではなかったが、自分の孤独を実感する。

○幼なじみ(女)17 クー・クー→クー(カッコウ)

 勇者のことが好きだった。元気に見えて精神的に弱い面がある。主人公にまだ気持ちが残っているが、今の安定した暮らしも大事なため、主人公が帰ってくると気持ちが不安定に揺れ動いてしまう。くすんだ緑の瞳、アッシュゴールド、三つ編み、口元に黒子、おっぱい。耳馴染みの良い中音域で優しそうにおっとり喋る。

 母親は農家、父親は旅商人で駆け落ちして居着いた。新しい品種を製作して販売ルートを持ったため、地元では一番大きな農場の娘。主人公は両親を亡くした後で旅に出る前、彼女の農場で働いている。主人公の両親が持っていた農地は彼女の父が買い上げた。

○幼なじみ(男)17 スパロウ(雀)

 幼なじみ(女)のことが好きで主人公にコンプレックスを持っていた。不在の間にアプローチしたことに罪悪感を持っている。黒に近い灰色の髪、少しやぶにらみの三白眼、身長が高い、かすれっぽい声。宿屋の息子。商売がうまいところが幼なじみ(女)の父親に気に入られている。

○姫(女)15 スワン(白鳥)

 おきゃんな性格。勇者から乗り換えたことに罪悪感一切なし。なんなら勇者もノリで惚れていた。金髪緑目。ですわ。白い服を着ている。

○騎士団長・第一騎士団(男)18 カイト(トンビ・鷹)

 生真面目。絵に描いた美形。乗り換えられたことに罪悪感あり。勇者のことは信用していて、魔族の残党が潜伏しているために討伐の手伝いを依頼したいし、誤解を解きたい。弟は大事に思っているが、同時に距離感や扱いをどうしたらいいかわからない。くすんだ金髪(アッシュゴールド)に青目(姫の一族の末席から引き取られている)。

○騎士隊長・第二騎士団(男)16 ターミガン(雷鳥・日本の特別天然記念物)

 騎士団長の血の繋がらない正当な血筋の弟。体が弱く、騎士ではあるが武闘の関わらない部署。金髪緑目(姫の一族)。優秀だが鬱屈して暗い。正当な後継者なのに、兄と比べられて居場所がないことを苦しんでいる。

○旅人(中性)34 レイヴン(渡り鴉)

 勇者の旅の途中で出会い、なんとなく一緒になって魔王を倒す前にふらっといなくなり再びふらっと現れた。寂しそうな人間の前に現れて一曲披露する。自由と孤独、責任から解放された人。紺色のボブカットと金色の猫目、猫口。山高帽の帽子を取るとネコミミが生えている。魔物と人のハーフ。外見は14程度。一人称は「ミー」。



【世界設定】

○騎士団 第一・第二

 警察と自衛隊をかねた組織。王宮騎士団は警察庁、地方騎士団が警察、支部が交番。治安維持のための危険な活動は第一騎士団、総務的な作業は第二騎士団が行う(女騎士も多い部署)。第二騎士団は舐められがちだが必要な職業。白い服を着ており、所属などにより装飾が異なる。

○世界の真実

 魔族は暴力的な存在として地底に封じられていた。地底から上がって地上に城を作り、王国への声明文を出したので勇者が必要になった。太古、人間と魔族は共に暮らしていた。しかし、人間が魔族に恐れをなしたので、先んじてよくわからないまま殴られている状態の魔族を地下へ追いやった。そして、現在の王国神話を創設した。

○勇者

 勇者の剣が抜けるのは勇者のみ。本当は勇者の血筋でなくてもいいが、勇者っていうものができてしまったのは、勇者の血筋意外には触らせないようになっている。あと、騎士団は守りにつかなくてはいけないから、勇者という名で別途派遣しないといけないよね。王国の教会の聖なる間に隠されている。勇者の存在自体は魔物に知られてしまうと危ないため、誰が勇者かは伝えられず極力身を隠しての行動になる。なお、剣は普通の見た目なので聖なる剣とは思われず、対魔切れ味のみで証明される。

○守の森(モリノモリ)

 赤い花が咲いている。魔界の魔力が届くところまで咲いているため、明確な境目がある。そこまでが守の森。赤い花(中央に黄色の筋が入った大きい5枚の花弁)を煎じると幻覚作用がある※大麻。村人は麻薬により村から離れられない。また、麻薬をやめるときややめたときと同じ反応がある。



【謎解きの流れ】

○希望

 幼なじみの手まり歌が隠し場所のヒントになっている=王国の秘密の守人の里出身。みんな白い服を着て花畑の中で暮らして人が出て行くことを認めない。

 王国の神話が、本当の神話とうまく比較できる感じに。

○森人の唄→守人の歌(音でしか知らない)

 森でお花を育てよう:大麻

 私は白い服を着よう:王国の象徴的な服

 皆でお日様を照らし続けよう:王国権力にゆるぎなきよう=王国の影の守り人

 まだ見ぬ夜が来ぬよう:魔族が地下から出てこないように

 皆でお日様を照らし続けよう



【骨子】

 居場所探しの話。



【あらすじ改2】

○三章

 勇者と魔王は、勇者の故郷へと行く。

 魔王は勇者の幼なじみに勇者のことを聞き、少しずつ気持ちが寄っていく。ライバル効果。勇者は幼なじみと不在時期の話を聞いて和解する。

 王都に戻るとレイヴンが第二騎士団長に拉致されている。迎えに行くとすべて喋っている。実は第二騎士団も調査を進めていて、勇者が倒した相手をつれてきていた(そいつは自害)。スパイも送っている。

○四章



【あらすじ改1】

○一章

 勇者は魔王を倒した。孤独な旅は三年掛かった。温厚な性格と仕事のストレスで乖離しており、実はほとんど覚えていない。また、殺戮を想像させることがトラウマになっている。

 勇者に惚れていた姫は騎士団長と婚約していた。気まずさとアテのために故郷へ戻る。勇者に惚れていた幼なじみ♀は幼なじみ♂と結婚していた。幼なじみ♀は主人公に思いを残しており、幼なじみ♂は主人公に敵対心を持っており、なんなら妊娠三ヶ月。主人公は二人を祝福して故郷から立ち去る。めちゃくちゃ泣く、そのときに手まり歌を呟く。

 旅の途中で友達になった吟遊詩人と行動を共にする。吟遊詩人は勇者の詩を作り、ルポとして歌うことで名を売りたいと思っている。また、普通に友達として心配なので、勇者に同行する。だが城には行けない。

 あてもない職探しに図書館へ向かう勇者。なんにも興味が持てずにショックを受けていると、魔王の娘と出会う。完全に見た目が好みだし、殺すのが可哀想だし、もう仕事をしたくないという気持ちで逃がす。

 騎士団第二団長に挨拶に行く。一番信頼している。いることを口止めしつつ。「兄さんが困ってんだよな。自分が勇者だって噂が立っちゃって、もうめちゃくちゃなんだよ」と。精神科を進めつつ、焦らないでもう少しここに居ればいいじゃない。「ところで魔物って人間に化けるけど、仮に潜伏してるの見つけたらどうしたらいい?」「できればまず会議にかけたいかな。それから人目につかないところで処分するか、処刑をしたという風に隠蔽したい。不安になるからな。人間斬っちゃったら笑えないから、できれば勇者の剣でお願いしたいところだ」ちょっと勇者の言動が奇妙なので怪しむ第二団長。ここからさりげなくスパイがついてくる。

○2章

 町コンに行ってみるけど嫌な意味で轟沈する勇者。またいないか気に掛かるから図書館に行ってみて、またいた。外で待ち構えて声をかける。脅して自白させる。魔王の娘は魔王と方針が異なり、殺されたことは悲しいけれどそういうものだと思っている、しかし勇者は怖い。民俗学と考古学の学者で、人間と魔物のルーツについて研究している。魔物が地底で暮らす前の証拠を、人間界で何か手がかりがないかと探している。きっかけにならないかと図書館で資料付けになっている。面白がった勇者は調べるのを手伝うことに決める。これを話すべきか、話さないべきか……と悩む。

 休日の第一騎士団長と偶然出会う(スパイ情報で偶然あったふりをする)。実は俺が勇者と思われていて大変なんだよ。戻ってきて欲しいなぁ……姫とのことは出し抜く形になって本当申し訳ないと思っているんだ。ちょっと気まずいよな……。修行のときのことなんかさあ、と人間関係や勇者が掛詞をしながら戦う理由などを回想する。実は幼なじみにふられちゃってと話をすると、両方にどんびきされた上に励まされる。

 魔王の娘を送っていく勇者。なんか恋人みたいと言われて好きになっちゃうからやめてという感じ。

 レイヴンが宿の待合でハープを弾いている。ハープには黒い宝石が埋め込まれている(興味なさすぎて気がつかなかったけどずっと見ている)。これオリハルコンの欠片。レイヴンに話しかけると、ちょっと考えてから、それ知ってるよという話になる。気がつかなかったの。これ勇者の剣と素材が同じオリハルコンだよ。

○3章

 もう一回説明するねと言う出だし。レイヴンが語り、宿に勇者と魔王の娘が集まる。帽子を外すと猫耳、魔族とのハーフだと明かす。勇者的にはショック。お前達にはいったいどんな風に俺が見えていたんだ……。

 君は優しい人だから苦悩してるって知ってるよ。魔物でも人間でも男でも女でもないから、友達とお客さん以外はどうでもいいよ。オリハルコンは魔物以外は持てないこと、詩の伝承がある地区が問題の基地だと思うことを説明。ただし、自分も父親の故郷の土地は知らない。母親が魔物。

 故郷に戻って幼なじみの母親に会いに行くことになる。体が悪くて籠もりがちの母親。聞こうとするとフラッシュバックで震え出すが幼なじみの父親が支えている。

 魔王の娘に恋人のふりをしてもらうことにより、幼なじみを安心させる。幼なじみ二人も待ち続ける苦悩や出し抜いた苦悩があったし、勇者もそれをわかっている。ただ仲間はずれになるのがすごい寂しかった。おめでとうと言って和解。幼なじみは感が鋭くて魔王の娘と付き合っていないんじゃないかと見抜くが、既にフラグは立っていた。

○4章

 主人公と魔王の娘とレイヴンで向かう。有給をとった第二が現れ、なぜ知っているかと問われればスパイをつけていたと明かされる。今もそれとなく監視されているが明かされない。

 村に辿り着くが隠密行動をする。俺一人ならどこまでも忍んでいける自信があるけど仲間がいると……。第二、レイヴン、魔王の娘の順番でミスをして三回目は致命的ファンブルにより捕虜になる。レイヴンと魔王の娘だけうまいこと逃がしたが、主人公とレイヴンだけが捕虜になる。死ぬかなあ死ぬかなあと思っているが、魔物にはきかない幻覚作用の薬を飲まされたりする。そして魔物だとわかると殺されそうになるのだが、第一騎士を連れてちょっぱやで戻ってきてくれる。第二の飛ばしたスパイが超活躍してくれた。場所をわかっているのは中間地点で出会った第二と魔王の娘だけ。

 王国騎士団に攻め入られたら抵抗せず、村に火をつけて一族歌って踊って死んでいく。ほとんどのものは燃え尽きてしまったが、閉じ込められていた場所の壁に歴史が刻まれていた。

○エピローグ

 この頃は町中で魔族を普通にみかけるようになった。勇者は新設の種族調停の第三騎士団に赴任。魔王が勇者と結婚しても良いと思ってるって照れ隠しをしながら言う。遠くから旅人のハープの音がする。



【あらすじ】

 勇者は魔王を倒した。孤独な旅は三年掛かった。

 勇者に惚れていた姫は騎士団長と婚約していた。王宮にとどまって騎士団の特別騎士になって欲しいと誘われる。騎士団弟にも会う。気まずさとアテのために故郷へ戻る。勇者に惚れていた幼なじみ♀は幼なじみ♂と結婚していた。幼なじみ♀は主人公に思いを残しており、幼なじみ♂は主人公に敵対心を持っており、なんなら妊娠三ヶ月。主人公は二人を祝福して故郷から立ち去る。めちゃくちゃ泣く、そのときに手まり歌を呟く。

 世間には居場所がなかった。勇者の立場は身の安全のために最初から最後まで伏せていた。身分証明が出来ず、ただの男になってしまった。しかも今の平和になった世の中では拳の強い男よりも金や安定職を持っている男ばかりがもてはやされ、勇者は筋肉しか見てもらえず、でも体だけ求められているみたいで嫌だった。ワンナイトラブはそれとしても、居場所が欲しかった。

 勇者は婚活の立ち振る舞いを学ぶべきか、資格をとって手に職をつけるべきか悩みながら図書館へ向かう。騎士団弟にちょっと相談をしていて、お兄さんには黙っててくれよな、なんで僕ってそりゃ、他に相談できる信頼おける友達いないんだよ。頼られてちょっと嬉しい。図書館で眼鏡の女の子とぶつかり、なんか見覚えがある顔だと思う。相手が顔色を変えて「勇者」といって逃げだそうとするから「図書館では静かに」といって場所を変える。なにも知らない勇者だが「私を殺しにきたのですか?」とすべてベラベラ喋ってくれて、本当になにも知らないことを明かすと帰ろうとする。そこにやってくる王国騎士団団長(休日)。「見かけたから声を掛けた、今度寄って欲しい。実は最近魔族が潜伏しているそうなんだ。君の力を借りたい。それじゃあね」デートと解釈されている。

「なんか悪いことでもしようとしてるの?」「私は正しい歴史を解明したいだけです」古代、人間と魔物は対等だったという歴史。現代では魔物は地底へと押しやられているのは不適切な扱いだという話。どっちがただしいかわからないけれど、自分は何もしらないままに言われたことをやっていた。君の仮定した歴史の証拠を探した上で結論をつけたい。ただ、お父さんを殺した責任はとりたい。君のことを守らせて欲しい。なんで? 居場所がないから……結婚もまだできなさそうだし、今すごく寂しいから、自分に目的を与えて欲しい。王国の言うことは聞かないの? 気まずいし、なにより今の話を聞いたなら確認しないといられない。

 旅人と久しぶりに出会う。懐かしくなって思い出話をすると、そこから手まり歌の話になり、ヒントを得る。

 魔王をつれていると騎士団弟がよかったじゃんって声を掛けてくる。ところでなんでそいつをつれているんだ。弟は魔王を怪しんでいた。本の履歴が残っている、足取りを調べても何者かわからない。君が誰か聞かせてくれよ。勇者は庇う。友人関係がこじれて、どうせ俺なんか……となる騎士団弟。

 実家に戻って幼なじみに手まり歌のことを聴きに行く。母親に尋ねたらフラッシュバックで発狂してしまい禁句となる。幼なじみ♂とのギスギスを解きほぐし、幼なじみ♀は勇者が違う女をつれていることでホッとして未練をなくす。勘違いだと訂正しようとする魔王に彼女の振りをして欲しいとたのむ勇者。動向するなら恋人の振りをした方がいいかもしれない。道中にデートみたいなことをする。恨まれても文句言えないけど、本音を言うと嫌われるより好きでいてほしいよな。この場合はそういう意味の好きじゃなくても。

 旅人はまだうろうろしている。魔王を見て魔族かと尋ねて、三人で宿で話をする。旅人は魔族と人間の駆け落ちハーフで、両親ともになくなっている。父親は麻薬の後遺症で、母親は人間に討たれて。帽子をかぶれる仕事じゃないとネコミミを隠せない。父親は幼なじみ♀と同じ土地の出身で場所を知っている。案内する。

 土地に潜伏しながら証拠でもある封印の石版を壊そうとするが、騎士団弟が止めに入ろうとする。怪しんでいた騎士団弟は休暇をとって追いかけて主人公を説得しようと思っていた。まさかこんなヤバイ話だとは思わなかった。なんで兄貴を頼らなかった。兄貴をはなから連れてきたら剣を抜くだろ。いざのために置き書きはしてきたけれど、お前を信じていたからだよ。

 魔族だけ逃がすが、勇者と騎士団弟が監禁される。時間経過を見て旅人が騎士団兄に連絡、監禁後に助けに来て、魔王が助けをもとめて誘導する。土地の者と騎士団の戦いになるが、封印の意志を壊すことにより魔力が完全になった魔王の力で炎上して終わる。赤い花は燃える。いろいろなモンスターがぴょこぴょこあがってくる。時間をかけて居場所を作りましょう。

 この頃は町中で魔族を普通にみかけるようになった。勇者は新設の種族調停の第三騎士団に赴任。魔王が勇者と結婚しても良いと思ってるって照れ隠しをしながら言う。遠くから旅人のハープの音がする。



【各キャラクターの感情フロー】


○勇者と魔王

 魔王にとって勇者は親の敵かつ恐怖の対象。いつ自分も殺されるかわからない。勇者が城に来た段階で戦闘力がないために脱出していたが、その姿を遠目に見たときに修羅のオーラをまとっていて恐ろしかった。ハイテンションで煽りながら敵を倒していく姿は通り名通りの「光のクレイジー」だと思った。状況が状況のため、勇者を利用することを考える。魔族の誇りのためになにを捧げても良いと思っていたが、勇者はそういうことを求めなかった。

 勇者の実物は言動のいきすぎたお調子者なだけ。国の言いなりになって働いた軽薄な男との印象も持っているが、同時に自分の言葉に真摯に耳を傾ける姿に悪人でもないという印象も抱く。馬鹿ではないのに馬鹿。

 徐々に薄っぺらさが愛情の居場所のなさと寂しさの空騒ぎと気がつき、自分の孤独と重ねて可哀想になってくる。自分がきつく喋ると大きな声で変なことばかり言うが、優しく喋れば静かめに返してくれることに気がつく。言うことはわざとぼけたりするけど、構えば喜ぶし無視するとうるさい。うっとおしいかと思っていたが、自分が孤独で寂しかったことに気がつくと、話してホッとしている自分にも気がつく。 



【題名】

 婚活勇者


【あらすじ・骨子】

 すべての人間に魔力が備わり、魔力の力で傷を治すから病気はいらない。

 三年間に魔王討伐へ向かった勇者。

 報告のために城に帰ると、自分に惚れていたはずの姫は騎士団長と婚約をしていた。騎士団の特別顧問になるかと誘われたが居心地の悪さから断り、故郷に帰って農業をするつもりでいたら、自分に惚れていたはずの故郷の幼なじみももう一人の幼なじみと結婚していた。

 居場所がないと感じた勇者は故郷を出て城下町に戻り、勇者という素性を隠した。日雇い労働をしながら婚活に励むが、魔物が滅んだ世界では筋力よりも金力で定職もなく稼ぎが安定しない勇者は相手にもされない。

 そんな中、婚活に来ていた魔王とマッチングしてしまう。魔族は上位が捕らえられて処刑されたが、姫たる魔王は王族の血を守るために逃げおおせていた。魔王は勇者とデートをとりつける。

 騎士団長と町中でたまたま出会い、一時は逃げたが話をしたいと言われて飲みに行く。実は姫の護衛をしている最中にフラグが立ってしまい、三年のうちに心変わりをしたのだという。居心地が悪いと思うけれど、力を貸して欲しい。この頃貴族を狙った魔族の女が出現しているという。排除しなければ。

 騎士団長の話を頭に入れながら、勇者は魔王と会う。マジで普通に楽しくデートをしてしまう。勇者は魔王に憎くないのかと尋ねる。勇者は仕事をしただけ、今自分を守れるのは勇者しかいないかもしれない。

 魔族の教会に連れて行かれ、魔族の宗教の話を聞かされる。人間の宗教は人間のみが人間であるが、魔族は人間と魔族は混血であるとされている。誰がどうという思惑は昔の人の話だけれど、今は平等のために宗教の説をひっくり返したい。教会の神父はへにゃへにゃの女の子寄りの子(両性)、彼女の推察。

 宗教の壁画を探して地元を経由して聖地に向かう。地元では幼なじみが懐妊。もう一人の幼なじみと主人公で経緯を語り合い、幸せに暮らしてくれ……と旅立つ。聖地では表の壁画の裏に本来の壁画が塗り固められていて、破壊しなくちゃいけない。壊して何もなければ本当にただの犯罪者だな……と思いつつ、そうなったら地の果てまで魔王をさらって逃げれば良いと覚悟を決める。

 壁画が壊れる。魔族の教会の説が正しいことが証明される。なぜ人間が魔力を持つのか、宗派は否定しないけれど学説として認めて欲しい。神に与えられたものではなく、生物学的に魔物と混血しているからだと。

 人間の教会の過激派に暗殺されそうになった主人公たちを助けるのは騎士団長と姫。

 新しい時代を作っていこうという話。